SoNeO:Automata

機械学習、量子情報、サブカルチャーなどに興味がある大学生が読んだ本、論文、気になったことなどを雑にまとめていく。

「大きな物語」と「天気の子」

「天気の子」良かったです。

初回はTOHOシネマズ新宿のIMAXで見て、昨日は二回目を立川シネマシティ a studioで見てきました。TOHOシネマズ新宿は舞台がマッチしてて出た後余韻に浸れるし、a studioで流れるグランドエスケープのシーンは最高。どちらもオススメ。

 

ということで最近Twitterで「天気の子」の感想を呟いてるので、ひとまずブログにまとめておくことにしました。

ネタバレはあり。

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技術書典6に初のサークル参加して合計300部(くらい)売れた話 & 執筆のススメ

技術書典6にて初めてサークル参加してきたので振り返ってみます。

 

 

まず、なぜ技術書典に出店してみようかと思ったか。

きっかけは技術書典からのこのメール。

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技術書典6「こ20」にてサークル初参加します

こんばんは、そねおです。入稿が終わって疲れ果てました。

明日から授業……? 嘘だよな……??(スケジュール管理がガバガバな自分のせい)

 春休みは技術書典のことばかり考えてました。

 

さて、2019年4月14日、技術書典6にて

配置: 「こ20」

サークル名: SoNeO:Automata

techbookfest.org

で頒布する本の紹介をします。

 

まず、

IBM QBlueqatでゼロから始める量子コンピュータ

です

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Toronto大学がedXで公開している"Quantum Machine Learning"という講義のまとめ +

MDR株式会社 | 量子コンピュータ開発 さんでのインターンのまとめです。

初歩からはじめて、Google Colaboratoryでコードを実行しながら、イジング問題の解き方とか、量子フーリエ変換とかのコードがわかるようになります。

IBM Qというゲート型の量子コンピュータを、IBMが提供しているQiskitを使って、実際に使うことができます。
また、Blueqatという量子計算のOSSを使ってアニーリングも学べます。

 

そしてなんと、表紙は AKiEDA🍆コミ1「A64b」 (@Ara_Kieda) さんです!

突然のお願いを引き受けていただいて、とても感謝です。

ヘッダーののぞみぞがめっちゃ好きです(リズと青い鳥を観ましょう)。

 

というわけで個人的に気に入っています。売ってたら買う。

 

当日は

・紙書籍+pdf1500

・DLカード (ZIPファイルリンク + パスワード):1500

で頒布します。たくさん刷ったのでたぶん売り切れないとは思いますが、紙のほうがオトクです。

後日boothでpdf版を同じく1500円で販売します。紙は残ったら売ります。

pdf: https://soneo.booth.pm/items/1311291(当日公開します)

 

もう一つは

「ゼロから始める情報幾何」

です。

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このブログで書いていた、「情報幾何学の基礎」のまとめです。

情報幾何学とかっこつけて言っておきながら、中身はほぼ微分幾何入門みたいな感じです。

正直自分用のまとめなのですが、表紙イラストを いちき (@ichiki_1) さんにお願いしてカッコよくなりました。誰かに役に立つといいな。

 

いちきさんをどうやって見つけたかと言うと、Twitterで「イラスト 仕事」みたいに検索してたらたまたま目に入ってお願いしました。依頼して3日位で描いてくださって、すごかった(語彙力)。

 

 

当日は

紙書籍のみ:1000

DLカード (ZIPファイルリンク + パスワード):1000

で頒布します。

後日boothでpdf版を1000円で販売します。紙は残ったら売ります。

pdf: https://soneo.booth.pm/items/1311457 (当日公開します)

 

サークルチェックすると、当日見逃しがなくて良いです。

技術書典6:SoNeO:Automata 詳細

 

今見たらチェック数が99になっていました。ありがとうございます!

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というわけで、当日はよろしくお願いします!

「ゼロから作るDeep Learning ❷ ―自然言語処理編」のまとめ 前半

なんとなく自然言語処理に興味を持ったので読んでみた。

 


ゼロから作るDeep Learning ❷ ―自然言語処理編

 

BERTが理解できるようになりたさ。

 

この本の構成は、スタンフォードCS224d: Deep Learning for Natural Language Processingを基にしているそう。

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伊藤計劃と山田尚子監督

この記事は、mast Advent Calendar 2018 の6日目の記事です。

 

みなさんにも、この作品のことが頭から離れない、という経験が一つや二つあると思います。私にもそんな作品がいくつかあるわけですが、ではいったいどうして、そういった作品が心に訴えかけてくるのかと。それぞれ扱うテーマなどは異なるわけですが、共通した現象として起こったのは、一人の人間の感情が鈍器で殴られたように揺さぶられたということです。そうすると、そういった作品が訴えかけてくる手法の違いを考えてみたりしたくなるわけですね。

 

前置きはこれくらいにして、始めていこうと思います。

 

まずタイトルを見て、二人とも知っている方は、「いったいなんだこの並びは」と思われるでしょう。実際、この二人の世界の描き方は、対極にあると思うのです。そこを、伊藤計劃『ハーモニー』と、山田尚子監督『リズと青い鳥』を通して語りたいと思います。重大なネタバレは無いです。

 

まず、『ハーモニー』ですが、生命主義の名の下に人間の命に絶対的な価値が置かれた結果、WatchMeというナノマシンがほぼ全ての人間の中に入れられることにより、大方の病気が根絶された一見平和なユートピアの世界が舞台です。そこで、自らの身体がコードによって単なる数値に書き換えられていくという事実に耐えられなくなったカリスマ少女「ミァハ」が、命を重く扱いすぎるあまり却って息苦しくなってしまった社会に対しパブリック・エネミーとして立ち向かう姿を、ミァハに惹きつけられてしまった少女「トァン」の一人称で描くお話です。ユートピアのお約束どおり、最後はそれが破綻して終わるのですが、ハッピーエンドかそうでないかは読者に委ねられています。私としてもその結末に一家言あるのですがそれは一旦置いといて、その魅せ方と、文章の綴られ方が斬新なところです。テーマは「意識」、「自由意志」、「管理社会」などでしょうか。

 

ミァハのキャラクターなのですが、これは「PSYCHO-PASS」でいう槙島聖護のようなキャラクター、と言えばピンとくる人も多いのではないでしょうか。時系列的に、槙島聖護のキャラクターはミァハに大きな影響を受けて設定されていると思います。

伊藤計劃は「ダークナイト」のジョーカーのような悪役を指して「世界精神型悪役」とブログで語っています。

世界精神型の悪役とは何か。世界、とは我々の世界でもあり、また映画の説話全体でもある。そして映画を監督が支配する(ということにしておいてください)以上、世界精神型の悪役という言葉は、監督が創造した世界の代弁者もしくは映画そのものの演出家という審級を与えられることになる。映画そのものを演出する映画内キャラクター。つまりは映画内における監督のキャラクター化だ。
世界に認識の変革を迫るヴィジョンを演出することで、ある事物の本質を抉り出すことそのものを目的とし、どんな現世利益的な欲も動機や目的にはしない、そんな悪役。世界を支配するのでもなく、政治的な目標を達成するのでもなく、金をもうけるのでもなく、ただある世界観を「われわれ」の世界観に暴力的に上書きする時間を演出する、それだけを目的とした悪役たち。それが「世界精神(ヴェルト・ガイスト)型」の悪役(というか、敵役、と言ったほうがいいのかもね)だ。d.hatena.ne.jp
この映画のジョーカーは悪意そのもの、人間の心理のどぶ底を浚ってくるクズ拾いのような世界精神(ヴェルト・ガイスト)型ヴィラン、金や権力など目もくれず、ある世界に人々を誘うことそれ自体を目的とするタイプの観念型悪役d.hatena.ne.jp

まさにミァハはこの世界精神型悪役として描かれています。ここから、伊藤計劃はミァハを通して己の考えを語り、それをトァンという一人称の視点から描くことで、私達の価値観を揺さぶりたかったんだな、ということが読み取れます。

ハーモニーの巻末インタビューによると、作劇法としてロジックがまず先にあり、そのロジックをいかに魅力的にするか、という観点でキャラが設定され、エモーションが肉付けされていったそうです。

結果として、ゴリゴリの理詰めが一人称の語りのエモーションによって強化され、読者の思考をハックする、という点が、これだけ読者を惹きつけているのだと思います。

(まぁ、「意識とは何か」というテーマが元々好きだった、というのが、私に刺さった理由の一つとしてももちろんあると思います(元も子もない))

 

というわけで、理詰めで作られた物語の極致がこれだと思うわけなんですね。(もちろん、意識と自由意志をごっちゃに扱ってない? とか、設定の細かいおかしなところとか、気になるところは挙げればあるんですけれども。)

映画も作られ、Netflixで配信されておりますが、映画ではどうしても視点が三人称的になってしまうこともあり、やはり「一人称」で書かれた文体と「わたし」がこの作品のキーテーマであることを考えると、小説を読むのがおすすめです。

 

 

お次は、山田尚子監督の『リズと青い鳥』です。

山田尚子監督のことは「聲の形」とか「けいおん!」などでご存知の方も多いでしょう。

この作品は、学校という鳥かごの中で揺れ動く「希美」と「みぞれ」という少女の関係を、ガラス越しにそっと覗くような、そんな静謐なアニメーション映画です。

「リズと青い鳥」山田尚子監督「彼女たちの言葉だけが正解だと思われたくなかった」|Zing!

元々武田綾乃先生の「響け!ユーフォニアム」シリーズで書かれていた二人の関係にピンと来た山田尚子監督が、二人に焦点を合わせて、スピンオフという形で映画化されました。

 

この作品には物語と言える物語はありません。雑に言ってしまえば、「ちょっと仲がこじれていた二人が、仲直りをする」で済んでしまうようなお話です。

ただそんな二人の感情を、アニメーションでしかできない表現手法で徹底して描写した映画だと言えます。

まず前提として、アニメーションでは不作為のものは絶対に画面に映りません。描かれるものには何らかの意図があります。

この「リズと青い鳥」では、髪をなでる仕草、瞳の揺れ、足の動きなど細部全て実際に物語の主題に対して大きな意味を持っている所が、この作品の凄いところです。

また、音楽も素晴らしいです。牛尾憲輔さんという方が担当されているのですが、学校にある物などを使って録音するなど、作品のコンセプトを見事に音で表現されています。

インタビューを読むと、ジョン・ケージに大きな影響を受けていらっしゃるそうで、なるほどなぁとなります。

「音楽とは何か」を示唆できる作品を志向していきたい―牛尾憲輔が語る「リズと青い鳥」と音楽(2)|Zing!

 

そういった細部全てに意味があるので、二人の世界を邪魔してはいけない、物音を立てたくない、呼吸すらしたくない、そんな緊張感が作品を通して漂っています。この映画を見た人は、学校の壁や机や黒板と同化します。

EDで「girls,dance,staircase」という山田監督が作詞された曲が流れるのですが、まさにこういう世界を切り取りたかったんだなぁと伝わってきます。

何より凄いのが、そういった山田監督の意図をスタッフが共有して、チームとして一つの作品に落とし込んでいるところです。監督やスタッフの並々ならない情熱が伝わってきます。

 

リズと青い鳥」には、先ほどの「ハーモニー」とは違って、論理を積み重ねた上で観客に訴えかけたいテーマ、思弁的なテーマはあまりないです。その代わり、キャラクターの心情に寄り添ったエモーションが、これでもかと映像に表されることで、観客の心に染み込んでくるのです。これほどエモーションを微に入り細を穿って描いたアニメーション映画は他に無いんじゃなかろうかと思います。また、実写ではなく、アニメーションだからこそ、そういった細部を描けるのだと思います。

 

以上二つの作品を語りました。「ハーモニー」と「リズと青い鳥」という作品に、どうしてこうも打たれるのだろうかと考えているうちに、それぞれの世界の描かれ方をロジックとエモーションという二次元の軸に置くと、まさに対極にあるんだな、ということに気がつき、面白いなと思って書きました。

片や文字、片や映像と音楽、といった情報が人間に入力されると、神経系をハックして感情を動かす、というのは、当たり前のようでとても不思議で、人間って面白いなと思います。

これからもこの二つの作品のように感情を揺さぶってくれる作品を探し続けて行きたいところです。最近はすっかり感化されて、映画を見たり小説を読んだりする日々を送っています。中学高校生の頃には文学から興味が離れていたのに、つくづく人間は不思議です。小学生の頃はハリーポッターとか江戸川乱歩とかは読んでたけど、なぜあまり本を読まなくなってしまっていたのか。

それだけ、人を変える力が物語にはあるということなのでしょう。

 

P.S. 良い作品に触れると自分でも何か表現してみたくなるもので、文章を書くのは好きなのもあり自分でも小説を書いてみたりしているのですが、長編を書いているときに思いついた短編が一つ書き上がったので、今度賞に応募してみようと思っています。

 

(追記)

山田尚子監督は前にインタビューで

あ、でもよく周囲の人から感覚で作業しているといわれるのですが、自分ではどちらかというと逆のような気がしています。 結構がんばって端々まで計算してるんですよ。数学とか苦手なのでつらいですけど。人の無意識はずっと意識して演出しています。

tamakolovestory.com

 と語られています。エモーションをハックするために、山田監督の演出法には無意識をハックするためのロジックがあるということですね。

 

伊藤計劃はロジックを魅せるためにエモーションで肉付けし、山田監督はエモーションを魅せるためにロジックで肉付けする……

この二人、探れば探るほど対称的な気がしてきます……!

二泊三日関西聖地巡礼の旅 京都宇治・大阪・兵庫神戸 響け!ユーフォニアム・りゅうおうのおしごと・Fate

突然思い立って聖地巡礼の旅に行ってきました。来週から大学の講義が始まるので、それまでに行っておこうと。

せっかくなので、ルートなどをまとめておくことにしました。

なお、宇治巡礼の際はコミケで買った同人誌がとても役に立ちました。精鋭の方々に感謝です。

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  • 宇治
  • 大阪
  • 神戸

 

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