SoNeO:Automata

機械学習、量子情報、サブカルチャーなどに興味がある大学生が読んだ本、論文、気になったことなどを雑にまとめていく。

ストロガッツ 非線形ダイナミクスとカオス | 1章まとめ

ストロガッツ 非線形ダイナミクスとカオス」の読んだところを備忘録とTexの練習を兼ねてまとめていきます.

 

 

ストロガッツ 非線形ダイナミクスとカオス

ストロガッツ 非線形ダイナミクスとカオス

 

 

この本を読む理由は,

力学系は用語が厨二っぽくてカッコイイから勉強したいな〜」

と思っていて,わかりやすく書いてあるという評判の本を探して見つけたという感じです.

Steins:Gateの影響で理系になったといっても過言ではない僕としては,ストレンジアトラクターとかバタフライエフェクトなどの用語だけ知っている状態だったわけで,いつかちゃんと勉強したいなと思っていたわけです(わかってくれる人いるはず).

 

真面目な理由では,ニューロン/ニューラルネットのモデル化に興味があったり,研究室にレーザーがあったり,ということがあります.

 

理解するにはコードがあると良いよなと思って探した所,原書の実装をpythonでしていると思われるコードを見つけたので共有しておきます.(自分はまだ実行してません)

github.com

 

 早速まとめていきます.

超ざっくりです.

 

1章 本書のあらまし

1.0 カオス,フラクタルダイナミクス

非線形ダイナミクス時間とともに発展する系を扱う
 

1.1 ダイナミクスの研究小史

1890年代 ポカンアレが3体問題に対する幾何学的方法を構築
カオスは初期条件に鋭敏
20世紀前半 ダイナミクスの主題は非線形振動子などであった(レーザーなど).
1950年代〜 計算機による数値実験が発達
1963年 Lorenzによるストレンジアトラクター上のカオス的運動の発見
1970年代 Feigenbaumの発見
「完全に異なる系が同一の道を経てカオスに至る可能性がある」
 

1.2 非線形であることの重要性

力学系には微分方程式(連続時間における系の発展)反復写像(iterated map)(差分方程式)(離散的な時間において)の2つがある
 
偏微分方程式(独立変数が複数)常微分方程式(独立変数が時間tのみ)かが大きな違い
となる.

減衰する調和振動子

\begin{equation} m\frac{\mathrm{d}^2 x}{\mathrm{d}t^2} + b\frac{\mathrm{d}x}{\mathrm{d}t} + kx = 0 \tag{1.2.1} \end{equation}

は \( dx/dt \) と\( d^2 x/dt^2 \)の常微分のみを含むので常微分方程式

 

これに対して熱方程式

\begin{align} \frac{\partial{u}}{\partial{t}} = \frac{\partial^2{u}}{\partial{x}^2} \end{align}

は時間\(t\)と空間\(x\)の両方を独立変数としてもつため偏微分方程式
 本書は時間のみに依存する(空間に依存しない)系を主に扱う
 
常微分方程式は一般には以下の式で与えられる.

\begin{align} \dot{x_1} = f_1(x_1, \cdots ,x_n) \\ \vdots \\ \dot{x_n} = f_n(x_1, \cdots ,x_n) \tag{1.2.2} \end{align}

 
式(1.2.1)を(1.2.2)の形式に書き換えると

\begin{equation} \dot{x_1} = x_2 \\ \dot{x_2} = \ddot{x} = - \frac{b}{m} \dot{x} - \frac{k}{m}x \\ \quad = - \frac{b}{m} \dot{x_2} - \frac{k}{m}x_1 \end{equation}

 となる.
(1.2.2)のように右辺が1次のべき(線形項)のみのものを線形系とよぶ
 非線形項は \(x_1 x_2 \), \( x_1^3 \), \( \cos x_2 \)などで,これらを含むと非線形系という.
たとえば振り子の振動は非線形系.xを振り子の鉛直方向からの振れ角,gを重力加速度,Lを振り子の長さとして,

\begin{equation} \ddot{x} + \frac{g}{L} \sin x = 0 \end{equation}

これと等価な系は非線形な系で

\begin{equation} \dot{x_1} = x_2 \\ \dot{x_2} = \ddot{x} = - \frac{{g}}{L} \sin x_1 \end{equation}

となる. 
近似による線形化や楕円関数を使えば解けるが,系から直接的に情報を見るために,位置と速度を表す関数 \( x_1(t) \) \( x_2(t) \) にわける.
\( x_1, x_2 \) の座標を持つ抽象的な空間を見ると,曲線を解の軌道(trajectory)といい,空間は相空間(phase space)という.
 相空間内はどの点も初期条件となりうるので相空間は解の軌道で埋め尽くされる.
 
今の手順の逆に行うことで,幾何学的な論法により、実際の方程式を解かずとも、相空間の軌道を描くことが可能になる
 
空間がn次元のものをn次元系とよぶ
 
非自律系(nonautonomous)
たとえば強制外力を受けるような、時間依存を受ける方程式
→系に新たな1次元を追加することで時間依存性を常に取り除ける
幾何学的考察が可能になる
 
非線形はなぜ難しい?
線形系は部分に分解できる.
自然界ではこうは上手く行かない.
非線形な相互作用が生じているため難しい.
レーザーの動作,ジョセフソン接合素子の超伝導状態*1なども非線形性が極めて重要.
 
 
 

1.3 動力学的世界観

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分類表.横が相空間の次元、縦が非線形
n=1で固定点分岐,n=2で非線形振動,n=3でカオスとフラクタルが登場する.
 
結局たいていは空間と時間の両面において複雑.
 
 
 
以上です.
 
数式打つの大変だった…(ブログ投稿続けられるだろうか…)
個人的には,最近幾何学にハマっていたので,ポアンカレがこの分野の創始者的な立場だったことを聞いて少し驚きました.しかし,方程式を実際に解くのではなく,解の軌道を幾何学的に理解するのが目的ということで,たしかに幾何学が重要だなと納得しました.
幾何学の本についても今度書きたいです.
 
あー読みたい本が多すぎるー
 
p.s. 数式中の重力加速度のgの書体をこの「g」にできる方法ってありますか?
知ってる方いたらコメントにお願いします><

*1:超伝導を用いる量子コンピュータによく出てくるっぽいです.最近IBM Qを見に行ったのでテンション上がりました.